エントリーNO.221
岩波文庫を1ページ読書
ブリギッタ・森の泉

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

ブリギッタは、醜く生まれ、心が頑なになってしまったが、、、。 愛のすれ違いと交わりを描いて胸打つ「ブリギッタ」。 少年少女にそそがれる大人の愛情と、それによって育まれる心を描く「荒野の村」「森の泉」。 シュティフター(1805-1868)の愛をめぐる物語三篇。

発行
岩波文庫 2011年3月16日 第1刷
著者名
シュティフター  
タイトル
ブリギッタ・森の泉 (ブリギッタ・もりのいずみ) 他一篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   荒野の村
   1 荒野
 わたしがこれから読者と聞き手の皆さんをお連れしょうと思うのは、言葉の本来の意味での 荒野(ハイデ) ではなくて、 わたしどもの町から遠く離れて、物悲しいほど美しい一地方で、荒野と人々に呼びならわされている所、 何故(なぜ) かというと、そこには、 いつとも知れない昔から、短い草しか () えていないからで、 所々にポツンと一本野性の松があったり、時々このあたりに来るわずかばかりの羊や 山羊(やぎ) の残していった小さな毛の (くず) を樹皮につけた、 片輪のような 白樺(しらかば) が生えたりしていた。 それからまた、これはかなりな範囲に広がって、 杜松(ねず) 木叢(こむら) があって、そのほかには別にこれという飾りもなかったが、 ただ、色のあせた土地のまわりに、びっくりするほどうるわしいリボンを引きまわしている遠山の数々は、ここへ数え入れなければなるまいか。


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