エントリーNO.214
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イリアス

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

トロイア戦争の末期、物語はギリシア軍第一の勇将アキレウスと王アガメムノンの、 火を吐くような舌戦に始まる。激情家で心優しいアキレウス、その親友パトロクロス、 トロイア軍の大将ヘクトルら、勇士たちの騎士道的な戦いと死を描く大英雄叙事詩。(全2冊)

発行
岩波文庫 1992年9月16日 第1刷
著者名
ホメロス  
タイトル
イリアス 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第一歌
      悪疫、アキレウスの怒り(六一一行)
   [第一歌 梗概]
 捕われてアカイア軍の 総帥(そうすい) アガメムノンの妾とされたクリュセイスを、 その父でアポロンの祭司であるクリュセスが開放するよう嘆願するが拒絶され、クリュセスの訴えにより、アポロンが陣中に悪疫を発生させる。 アキレウスの介入でクリュセイスは返還されるが、怒ったアガメムノンは、アキレウスの愛妾プリセイスを奪う。 アキレウスは戦線から離れ、母テティスに名誉回復を訴える。 テティスはそれをゼウスに嘆願し承諾させる。 それが (もと) でゼウスと妃ヘレとの間に争いが起こるが、 ヘパイストスのとりなしで一旦は収まる。

 怒りを歌え、女神よ、ペレウスの子アキレウスの----アカイア勢に数知れぬ苦難をもたらし、あまた勇士らの (たけ) き魂を 冥府の王(アイデス) に投げ与え、 その 亡骸(なきがら) は群がる野犬野鳥のくらうにまかせたかの呪うべき怒りを。 かくてゼウスの神慮は () げられていったが、はじめアトレウスの子、 民を () べる王アガメムノンと勇将アキレウスとが、 仲違(なかたが) いして (たもと) を分つ時より語り起こして、歌い給えよ。  そもそも二人を争わしめたのは、いかなる神であったのか。これぞレトとゼウスの御子(アポロン)、 神はアトレウスの子が祭司クリュセスを (はずか) しめたことを (いきどお) り、 陣中に悪疫を起し、兵士らは次々に (たお) れていった。 クリュセスは捕われの娘の身柄を引き取るべく、莫大な () (しろ) を携え、 手に持つ黄金の 笏杖(しゃくじょう) (さき) には遠矢の神アポロンの聖なる (しるし) 、 羊の毛を結んで、船脚速き軍船の並ぶアカイア勢の陣営に現われ、アカイア軍の全員、わけても軍を統率するアトレウス家の二兄弟に嘆願していうには、
「アトレウス家の御兄弟ならびに 脛当美々(すねあてびび) しきアカイア勢の方々よ、どうかあなた方が見事プリアモスの城を攻め落し(つつが) なく故国にお帰りなされることを、 オリュンポスに住まいます神々がお許し下さるように。
(サイト管理人 注 ”野犬野鳥のくらう”の”くらう”旧漢字見当たらず)


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