エントリーNO.211
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ロボット

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。 舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。 人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。 機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペック(1890-1938)の予言的作品。

発行
岩波文庫 1989年5月25日 第2刷
著者名
チャペック  
タイトル
ロボット  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  序幕
ロッスムのユニバーサル・ロボット工場本部。上手に入口。正面の壁にはいくつかの窓があり、 そこから延々とつづく工場の建物が見える。下手には社長室のつづき。

ドミンがアメリカ風の大きな机を前に回転椅子に腰をかけている。机の上にはスタンド、電話、文鎮、手紙のフィルムなど。 下手の壁には航路と鉄道の描かれている大きな地図が数枚、大きなカレンダー、正午のすこし前を指している時計。 上手の壁には、「一番安い労働力----ロッスムのロボット」「新製品----熱帯用ロボット、一体百五十ドル」「誰もが自分用のロボットを注文ください」 という印刷されたポスターが (びょう) でとめられている。 そのほか、別の何枚かの地図、船舶運航時刻表、レートを知らせる電文の貼ってある掲示板、その他。 壁に飾られたこれらのものと対照的に床には見事なトルコじゅうたん、上手に丸いテーブル、ソファ、革張りの 肘掛(ひじか) け椅子のセット、 それに本箱、その中には本の代わりにワインや強い酒の入った瓶。下手に金庫。 ドミンの机の横にタイプライターがあり、そこで女の子のスラがタイプを打っている

ドミン (口述している)「---で、輸送により破損した商品の保証は致しかねます。船がロボットの輸送に適していないことは、積みこみの際すぐその場で貴社の船長に注意してあり、 積荷の破損は当社の関知するところではございません。サイン----ロッスムのユニバーサル・ロボット社社長---」。できたかね?
スラ  はい。
ドミン 新しい紙を。ハンブルグ、フリードリッヒ製作者---日付。---「ロボット一万五千体の注文を間違いなく受け取りました。(内線の電話が鳴る。ドミンは受話器をとり上げ話す) もしもし---こちらは社長の---はい。---もちろんです。そうですとも、いつものとおりで。---もちろん、先方に電報を打って下さい。---結構です---(受話器を置く)どこまでだったかな?


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