エントリーNO.205
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歴史

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

ギリシア諸都市とペルシア帝国の争いは前五世紀、ついに両者の激突をむかえる。 「歴史の父」ヘロドトスが物語るのは、このペルシア戦争を頂点とする東西抗争の歴史である。 豊富に織りこまれた説話や風土習俗の記述は長巻を飽かず読ませる魅力を持つ。(全3冊)

発行
岩波文庫 1999年10月5日 第37刷
著者名
ヘロドトス  
タイトル
歴史 (れきし) 全3冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

     巻一 (クレイオの巻)
 序 本書はハリカルナッソス出身のヘロドトスが、人間界の出来事が時の移ろうとともに忘れ去られ、 ギリシア人や 異邦人(バルバロイ) の果した偉大な驚嘆すべき事跡の数々--- とりわけて両者がいかなる原因から戦いを交えるに至ったかの事情---も、やがて世の人に知られなくなるのを恐れて、 自ら研究調査したところを書き述べたものである。
 一 ペルシア側の学者の説では、争いの因を成したのはフェニキア人であったという。 それによれば、フェニキア人はいわゆる「紅海」からこちらの海に移ってきて、現在も彼らの住んでいる場所に定住するや、 たちまち遠洋航海に乗り出し、エジプトやアッシリアの貨物を運んでは各地を廻ったが、アルゴスへも来たという。 当時このアルゴスは、今日ヘラス(ギリシア)と呼ばれている地域にある国々の中では、あらゆる点で最も強大な国であった。 さてフェニキュア人はそのアルゴスへ着くと、積荷を売りさばいたが、到着後五、六日目、商品も大方売り尽くした頃、女たちが大勢海岸へやってきて、 その中には王の娘も混じっていた。王女の名は、ギリシアの所伝と同じく、イナコスの娘イオであったという。 女たちは船尾のあたりに立って、それぞれ一番欲しいと思う品を買っていたが、このときフェニキア人はお互いにしめし合わすと女たちに襲いかかった。


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