エントリーNO.191
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阿部一族

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

細川忠利公に殉死した忠臣は十八名を数えたのに、なぜか阿部弥一右衛門の場合は---- 許されぬ殉死が招く一族の悲劇。 封建制下の社会で武士道に縛られた日本人の死生観を簡潔な筆致で鮮明にとらえた表題作のほか「興津弥五右衛門の遺書」「佐橋甚五郎」の2篇を収録。 鴎外文学の初期を代表する歴史小説集。改版。解説=斎藤茂吉

発行
岩波文庫 2007年12月14日 改版第1刷
著者名
森 鴎外 (もり おうがい)  
タイトル
阿部一族 (あべいちぞく) 他2篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   興津弥右衛門の遺書
  (それがし) () 明日(みょうにち) 年来の 宿望(しゅくもう) 相達候(あいたっしそろ) て、 妙解院殿(みょうげいんでん) 御墓前(ごぼぜん) () いて 首尾好(しゅびよ) 切腹(せっぷく) いたし 候事(そろこと) 相成候(あいなりそろ)
  (それがし) 祖父は 興津右兵衛影通(おきつうひょうえかげみち) 申候(もうしそろ) 永正(えいしょう) 十一([十七]) 駿河国(するがのくに) 興津に (うま) れ、 今川治部大輔殿(いまがわじぶたゆうどの) に仕え、 同国 清見(きよみ) (せき) に住居いたし (そろ) 永禄(えいろく) 三年五月二十日今川殿 陣亡(じんぼう) 被遊候時(あそばされそろとき) 、 景通も 御供(おとも) いたし候。 年齢四十一歳に候。 法名(ほうみょう) 千山宗及居士(せんざんそうきゅうこじ) 申候(もうしそろ)


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