エントリーNO.185
岩波文庫を1ページ読書
やまびこ学校

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

ほんものの教育がしたいという願いから、社会科を手がかりにして、 生活綴方の指導をおこなった山形県山元村中学校の教師、無着成恭(1927-)が、 その成果をまとめた詩・作文集(1951年刊)。 いまなお読む者の心を強く打たずにはおかない克明でひたむきな生活記録。 戦後の教育に大きな影響を与えた。(解説 国分一太郎・鶴見和子)

発行
岩波文庫 1995年7月17日 第1刷
編者
無着成恭 (むちゃくせいきょう)  
タイトル
やまびこ学校 (やまびこがっこう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    雪
              石井(いしい) 敏雄(としお)
 雪がコンコン降る。
 人間は
 その下で暮らしているのです。

   母の死とその後
              江口(えぐち) 江一(こういち)
1 僕の家
 僕の家は貧乏で、山元村の中でもいちばんぐらい貧乏です。そして明日はお母さんの三十五日ですから、いろいろお母さんのことや家のことなど考えられてきてなりません。 それで僕は僕の家のことについていろいろかいてみたいと思います。  明日は、いよいよいちばんちいさい 二男(フタオ) と別れなければなりません。 二男も、小学校の三年生だが、お母さんが死んでから僕のいうことをよく聞いて、あんなにちっちゃいのに、よく「 やんだ((いやだ)) 」ともいわないて、 バイタ((たきぎ)) 背負いの手伝いなどしてくれました。 だから村木沢のお母さんの実家に行っても 一丁前((一人前)) になるまで歯をくいしばってがんばるだろうと思っています。
 ツエ子も、明日三十五日に山形の叔父さんがつれて行くように、親族会議で決まっていたのですが、お母さんが死んでからずうっと今もまだ にわとりせき((百日ぜき)) でねているので、 なおってからつれて行くことになりました。


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