エントリーNO.179
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高僧伝

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

中国仏教史の基本資料『高僧伝』初の全和訳。後漢時代に伝来した仏教は六朝期に至って隆盛を極めた。 梁の慧皎は、最初期四五〇年間の高僧およそ五〇〇人の事績を集成(本伝二五七人・付伝二〇〇余人)。 本冊には 鳩摩羅什(くまらじゅう) 法顕(ほっけん) などを扱う 訳経篇(やくきょうへん) 、 及び訳者解説を収める。(全四冊)

発行
岩波文庫 2009年8月18日 第1刷
著者名
慧皎 (えこう)  
タイトル
高僧伝 (こうそうでん) 全4冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

 巻第一
 訳経篇上
   漢の洛陽の 白馬寺(はくばじ) の摂摩騰
  摂摩騰(しょうまとう) はそもそも 中天竺(ちゅうてんじく) の人である。 容姿が素晴らしく、大乗、小乗の経典を理解し、絶えず各地を行脚して教化することに心がけた。 かつて天竺に従属する小国に出かけて『 金光明(こんこうみょう) 経』を講義したことがあった。 たまたま敵国が国境を侵犯し、摩騰はこう考えた。 「経に、能く此の経法を説けば、地神の護る所と為り、居る所をして安楽ならしむとある。 今や戦端がひらかれることとなったが、これこそが役立つのではあるまいか」。 そこでわが身を捨てんことを誓い、わざわざ出向いて和解を勧告したところ、二国は仲直りをした。このことによって名声が轟いた。


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