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エントリーNO.178
岩波文庫を1ページ読書
アラン定義集

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

「咎め立てる炯眼よりも赦す炯眼の方が上手なのだ」(「悪口」)。 /「叡智。これは怒り狂った判断を克服した徳である」(「叡智」)。 /「真の奇跡は人間に属している」(「奇跡」)-----遺作カード箱から二六四枚に書かれた断想の初の全訳と、 未刊主題を収録。貴重な日本版。

発行
岩波文庫 2003年8月19日 第1刷
著者名
アラン  
タイトル
定義集 (ていぎしゅう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

ABATTEMENT
 落胆
これは思いがけないショックから陥る状態で、落ち込みとはまったく異なる。 落ち込みはじわりじわりと落ち込んでいくものである。 落胆は自然なもので、それには時間をおかねばならない。気持ちを落ち着かせる時を。

ABSOLU
 絶対的
純粋な、分離したもので、混合や依存や関係などのないものについて言われる。 この意味において「絶対的安全」「絶対的無私」「絶対的絶望」といわれる。 絶対的は相対的と対立する。絶対的運動とは、さまざまな関係や指標などとはまったく別個に存在する運動である。 (そのような運動は現実には存在しないのがわかる。)相対的運動は不動とみなされた任意の点に対する運動である。 これらの点が動くならば、運動は静止に変わることもありうるだろう。 天文学上のさまざまな現象は、もし地球を不動とすれば、太陽の運動によって説明され、またもし太陽を不動とすれば、地球の運動によって説明される。 道徳に絶対的なものが関係するのは、人は絶対的な価値を、すなわち(こちらでは悪徳だがああちらでは美徳であるという懐疑的判断ではなく)意見や状況によらない価値を求めているからである。 泥棒に対して約束を守っているテュレンヌは、そのことによって絶対的誠実に近い。


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