エントリーNO.175
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統治二論

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

イギリス社会が新興の中産階層の力で近代社会へと脱皮してゆくとき、その政治思想を代表したのがロック(1632-1704)であった。 王権神授説を否定し、政治権力の起源を人びとの合意=社会契約によるとした本書は、アメリカ独立宣言の原理的核心となり、 フランス革命にも影響を与えた。政治学史上屈指の古典の全訳。

発行
岩波文庫 2010年11月16日 第1刷
著者名
ジョン・ロック  
タイトル
統治二論 (とうちにろん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  第一章  序論
一 隷属状態は、人間にとってこの上なく卑しく悲惨な状態であって、わが国民の高潔な気質や勇気とはまったく相容れないものであるから、ジェントルマンはもとより、 イングランド人がそれを擁護するなどということは到底考えられないことである。そうであるだけに、 実際のところ、私は、世人に対して彼らはすべて奴隷であり、またそうであるべきだと説くサー・ロバート・フィルマーの『パトリアーカ』は、 彼の他の論文同様、かのネロの礼讃を書いた人物のものと同じように、誠実に考えられた真面目な論考であるというよりも、才知にもとづく筆の遊びであるとみなすところであった。 しかし、(『パトリアーカあるいは国王の自然の権力』という)その書名と(序として付された)書簡との荘重さ、その巻頭を飾る(チャールズ二世の)肖像画、 更には出版に続くそれへの称賛からみて私は、この書物の著者も出版書肆も大真面目であると考えざるをえなかったのである。 そこで私は、この『パトリアーカ』を、期待を込めて手にし、広く流布して評判となった論稿に当然払うべき注意をもって通読してみた。


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