エントリーNO.172
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オイディプス王

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

オイディプスが先王殺害犯人の探索を烈しい呪いの言葉とともに命ずる発端から恐るべき真相発見の破局へとすべてを集中させてゆく緊密な劇的構成。 発端の自信に満ちた誇り高い王オイディプスと運命の逆転に打ちひしがれた弱い人間オイディプスとの鮮やかな対比。数多いギリシア悲劇のなかでも、 古来傑作の誉れ高い作品である。

発行
岩波文庫 1984年4月10日 第24刷
著者名
ソポクレス  
タイトル
オイディプス王 (オイディプスおう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  プロロゴス
  (宮殿の扉が開かれ、オイディプス、従者をしたがえて登場)
オイディプス  わが民らよ、遠き父祖カドモスのはぐくんだ、 後裔(すえ) なる子らよ、 いかがいたしたのか-----かざしをつけた嘆願のしるしの小枝を手に手にささげ持って、そこにそうして坐っているのは?それにテバイの都はいま、 祭壇(さいだん) に香たく煙がいたるところにたちこめ 治癒(ちゆ) の祈りと悲嘆の声にみちみちている。 わたしはこれがどうした 事情(わけ) か、他人の口づてに聞くことをよしとせず、 わが民らよ、人みなにその名もかくれなきオイディプスが、みずから () きじきここへやってまいった。
 (正面にいる年老いた神官に向かって)さあ (おきな) よ、話してみるがよい。 そなたは、ここにいる旨を代表して口をきくにふさわしい者。このわたしは、どんなことをしてでも、お前たちの助けになるつもり。 まことに、もしこのような嘆願に心を動かされないとしたら、わたしは血も涙もない男というべきであろう。
神官  されば、わが国土をしろしめすオイディプスさま、わたしどもがどのように老いも若きもこぞって、 お (やかた) の祭壇の前にひざまずいておりますかは、ごらんのとおりでございます。


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