エントリーNO.171
|
|
解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用) イスラーム文化を真にイスラーム的ならしめているものは何か。 -----著者はイスラームの宗教について説くことからはじめその実現としての法と倫理におよび、 さらにそれらを支える基盤の中にいわば顕教的なものと密教的なものとの激しいせめぎ合いを認め、 イスラーム文化の根元に迫ろうとする。世界的な権威による第一級の啓蒙書。 |
|
発行
|
岩波文庫 1994年12月16日 第1刷
|
著者名
|
井筒 俊彦 (いづつ としひこ)
|
タイトル
|
イスラーム文化 (イスラームぶんか)
|
T 宗教
前置きはこのくらいにして、この辺で本題に移りたいと存じます。「イスラーム文化-----その根底にあるもの」----
冒頭に申しましたように、私の意図としてはイスラーム文化をとくにイスラーム的文化として構造化している根源的なものにまでそれを追いつめてみたいというわけでございますが、
この目的のために私は今回、イスラーム文化の主要な問題点と考えられるものを三つ選びました。
本日はその第一のもの、イスラーム文化の宗教的基底が主題でございます。
皆様ご存じのとおりイスラーム文化はいまや、単なる宗教としてではなく、一つの政治勢力、世界政治の動向を左右するほどの力をもった政治勢力として、
そしてまた、それを裏づける世界的政治勢力としてわれわれの前に現れてまいりました。われわれの時局的関心が、その動きを逐一追っております。
しかし、本来的、あるいは根源的には、イスラームは何といいましても、あくまで宗教的であり、ひとつの特徴ある信仰体系であります。
最近のイラン革命が実に意外な形でそのことをわれわれに痛感させました。宗教的基盤の上に成立したひとつのきわめて特異な文化構造体枠組、
そういうものとしてイスラーム文化の根底にあるものをこれから探ってみたいと思います。