エントリーNO.170
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オネーギン

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

決闘で親友を殺したオネーギンは、相変らず務めも妻もない日々をもて余していた。 そんな或る日、夜会で人々の注目を集めている貴婦人を見かける。 彼女こそかつての田舎娘タチヤーナだった。 悔恨が彼の胸を締めつける。主人公たちの喰い違う恋を追う筋書きの間に、プーシキン(1799-1833)自身の文明批判や諷刺を盛り込み、 19世紀初頭のロシアを描いた彼の代表作。

発行
岩波文庫 1992年10月5日 第33刷
著者名
プーシキン  
タイトル
オネーギン  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第一章  ふさぎの虫
        世渡りも大あわて、恋の道も大急ぎ。
                -----公爵ヴァーゼムスキイ
 「叔父さんはよくよくの律義者だ。再起不能の床にふせると、さすがは一家のあるじと尊敬させた。 なかなか殊勝な上分別、あれこそ世間の立派なかがみだ。 -----そうは言っても、昼夜の別なく病人の (まくら) もとにすわり詰め、 一歩も逃げ出せぬとは退屈至極、ましてや死にぞこないを慰めたり、枕のまがりを直したり、悲しそうに薬を運びながら、 ため息をついて腹の底で『こん畜生、はやくお迎えが来りゃいい』とおもうのは、何とも見さげはてたえせ親切だ。」
 砂ぼこりをけたて、駅馬車で宙を飛びながら、若き 蕩児(とうじ) はこう考えた。 あまた数ある 親戚(しんせき) のなかから、 ゼウスの神の (かしこ) 御旨(みむね) で、 彼は相続人に選ばれたのだ。諸君、『ルスランとリュドミーラ』の親友よ!この小説の主人公を、前置き抜きに今ここで、私は諸君に紹介させて頂こう。


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