エントリーNO.164
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解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用) 眠れない夜はつらい。しかしいたずらに嘆いていないで、我々はそれを、 日頃怠りがちな自己反省のための、静かな妨げられない時間として活用しようではないか。 ヒルティ(1833-1909)は青年にむかってこう語りかける。 スイスの哲学者で、国際法の大家でもあった著者が、聖書の言葉を引きながら、 人はいかに生きいかに自分を深めてゆくかを、諄々と説く。 |
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発行
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岩波文庫 1989年12月5日 第25刷
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著者名
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ヒルティ
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タイトル
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眠られぬ夜のために (ねむられぬよるのために)(全2冊)
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眠れない夜はたえがたい禍いである。健康なものも病人もそれを恐れる。
というのは、健康な者は、主として規則正しい睡眠によって健康が保たれるのを知っており、また病人の場合は、
苦痛を和らげ元気を回復してくれる睡眠によって中断されないならば、長い暗い夜の時間の悩みと苦しみが、二倍にも感じられるからである。
そしてありがちなことだが、その上に心配や悲しみが加わるならば、将来に対する恐怖が、体力も衰え気力もなえた人に、ちょうど「武装した兵士」のように襲いかかる。
これに抵抗するのは困難であり、のがれることさえできない。
これはまさにその通りであるが、しかしそれにもかかわらず、このような場合に、それが一時的な不眠にせよ、
あるいは永続的なものにせよ、適当な有効な療法があればそれを用いるか、それとも、せめて不眠そのものをできるだけ利用するほかはない。
しかもこの二つは、ある程度まで結合することができる。
これに反して、なにも救いの手立てを試みないで、いたずらに嘆いているのは、あきらかに愚かなことであって、
たださえつらい病苦を和らげるどころか、さらに重くするだけである。