エントリーNO.161
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解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用) 息もつかせぬ展開と最後に用意された大どんでん返し-----何度も上演され、 映画化されたイギリスの劇作家プリーストリー(1894-1984)の代表作。 舞台は裕福な実業家の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、 ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いてゆく・・・。 |
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発行
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岩波文庫 2007年12月5日 第6刷
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著者名
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プリーストリー
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タイトル
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夜の来訪者 (よるのらいほうしゃ)
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第一幕
郊外のかなり大きな家の食堂、ある成功した工場主の持ち家である。
食堂には当時の上等な、がっしりした家具が置かれている。
全体の趣は、しっかりして、重々しく居心地よさそうだが、
こぢんまりとした、家庭的な雰囲気はない。
幕が開くと、バーリング家の家族四人とジェラルドが食卓に着いている。アーサー・バーリングが一方の端、
妻は他方の端にすわり、エリックは舞台の前方、シーラとジェラルドは舞台の奥にすわっている。小間使いのエドナが、
テーブルクロスを掛けていない食卓の上から、デザート用の銘々皿や、シャンパン・グラスなどを取り片づけ、つづいて、
その代わりに、ポートワインのデカンター、葉巻の箱、巻きタバコなどを並べている。
ポートワイン用のグラスは、すでに卓上に出ている。五人とも、当時の型の夜会服を着用している。
男性は、タキシードではなく、白ネクタイに燕尾服である。
アーサー・バーリングは、恰幅のいい、ひどく尊大な、五十四、五歳の男で、
態度はまあまあゆったりしているが、ことばにはだいぶ地方なまりがある。
かれの妻は、五十歳ぐらい。非常に冷たい感じのする女で、実家の社会的身分は夫より上である。