エントリーNO.157
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フランクリン自伝

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

雷雨中にたこを上げて電気と雷は同じものであることを発見したフランクリン(1706-1790)は、 科学者であるとともに、出版業者、哲学者、経済学者、政治家であり、そして何よりもアメリカ資本主義の育ての親であった。 本書はすぐれた人生教科書として多くの青年に影響を与えてきたが、アメリカ研究のための注目すべき書物でもある。

発行
岩波文庫 1984年2月10日 第32刷
著者名
フランクリン  
タイトル
フランクリン自伝 (フランクリンじでん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  第一章  少年時代
   一七七一年 トワイフォード在セント・アサフ主教の屋敷にて
   息子よ。
 先祖たちの逸話を集めるのは、どんな小さい 逸話(いつわ) でも、昔から私には楽しいことだった。 お前も覚えているだろうが、私がお前と一緒にイングランドへ出かけた時、 いまなおその地に残っている親類の者について調べたり、旅行したりなどしたのもそのためであった。 同じようにお前にとっても、私のこれまでのことを知るのは嬉しいだろう。 その多くはお前がまだ知らないことなのだから。 それにいま私はへんぴな田舎にいてここ一週間はずっと (ひま) でいられるはずだから、 それで一つお前のために書いてみようと思って机に向かったのである。 もっとも、この仕事をやってみたいと思う理由は他にもいくつかある。 私は貧しい (いや) しい家に生まれ育ち、 のち次第に身を起して 富裕(ふゆう) の人となり、 ある程度世間に名の知られ、かつこの年になるまでかなり幸運に恵まれて日を過ごしてきたが、 子孫のものからすれば、そうなるまでに私が取り用いた有益な手段-----それは神さまのお蔭でたいそう成功したが-----その中には自分の境遇にも役立ち、 したがって 真似(まね) したらよいと考えられるものもあろうから、 その手段を知りたいものだと思うことだろう。


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