エントリーNO.150
|
|
解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用) イギリスの思想家ジョン・スチュアート・ミルの代表的著作。 言論の自由をはじめとして、社会生活における個人の自由について論じ、個人の自由の不可侵性を明らかにする。 政府干渉の増大に対する警告など今日なお示唆を与えられるところ多く、本書をおいて自由主義を語ることはできないといわれる不朽の古典。 |
|
発行
|
岩波文庫 2010年4月26日 第56刷
|
著者名
|
J.S.ミル
|
タイトル
|
自由論 (じゆうろん)
|
第一章 序説
この論文の主題は、哲学的必然という誤った名前を冠せられている学説に実に不幸にも対立させられているところの、
いわゆる意志の自由ではなくて、市民的、または社会的自由である。
換言すれば、社会が個人に対して正当に行使し得る権力の本質と諸限界とである。
この問題は、一般的に述べられたことは稀であり、また一般的に論議されたこともほとんどないが、
それが潜在していることによって現代の実践的論争に深甚の影響を及ぼしており、また、
やがては将来のもっとも重要な問題と認められる可能性のある問題である。
これは、新奇な問題どころではなくて、ある意味においては、ほとんど最古の時代から、人類を二分させてきた問題である。
しかしながら、今日比較的文明の進んだ部類の種族においては、この問題は新たな諸条件の下に立ち現われて、
これまでとは違った、一層根本的な取り扱いを必要とするのである。
自由と権威との闘争は、われわれが極めて早くから熟知している歴史の部分---特にギリシャ、ローマ、およびイギリスの歴史において、
最も顕著な特徴をなしているものである。しかし、古代においては、この闘争は、臣民または臣民中のある階級と政府との間に行われていた。