エントリーNO.146
岩波文庫を1ページ読書

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

昆虫の羽音とチョウの舞う、花咲く野原へ出かけよう。 生物たちが独自の知覚と行動でつくりだす(環世界)の多様さ。 この本は動物の感覚から知覚へ、行動への作用を探り、生き物の世界像を知る旅にいざなう。 行動は刺激に対する物理反応ではなく、環世界あってのものだと唱えた最初の人ユクスキュルの、今なお新鮮な科学の古典。

発行
岩波文庫 2010年4月26日 第11刷
著者名
ユクスキュル  
タイトル
生物から見た世界 (せいぶつからみたせかい )  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  序章 環境と環世界
イヌを連れて森や茂みの中を歩きまわることも多い田舎の住人なら、茂みの小枝にぶらさがって 獲物(えもの) を待ち伏せているちっぽけな動物を知っているにちがいない。 そいつは人間であれ動物であれ、その獲物に跳びついて生き血を腹いっぱい吸う。すると、一ミリか二ミリしかなかったこの動物はたちまちエンドウ豆大に (ふく) れあがる(図1)。
 マダニは 哺乳類(ほにゅうるい) や人間にとって、危険でこそないが不快な客である。 マダ二の生活史は近年の研究によって多くの詳細な点についてまで明らかにされているので、ほぼ完璧な全体像を描くことができる。
 まず、 (あし) がまだ一対足らず、生殖器官もまだない未完成な小動物が卵から () いだしてくる。


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