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エントリーNO.141
岩波文庫を1ページ読書

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

ショウペンハウエルの主著「意志と表象としての世界」以上に愛読された「付録と補遺」の中から、自殺に関する論稿5篇を収める。 人生とは「裏切られた希望、挫折させられた目論見、それと気づいたときにはもう遅すぎる過ちの連続にほかならない」など、透徹した洞察が、易しく味わい深く書かれている。

発行
岩波文庫 2010年4月26日 第74刷
著者名
ショウペンハウエル  
タイトル
自殺について (じさつについて) 他4篇  
 
        上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  我々の真実の本質は死によって破壊せられ
  えないものであるという教説によせて
     1
 この問題については私の主著のなかでまとめて詳細に論じてはおいたが、 しかしそこでの叙述にさらに若干の光明を投ずるでもあろうような断片的な諸考察をここで少しく付け加えておくことは、 多くの人達にとってはまんざら意味のないことでもなかろうと思う。---
 ジャン・パウルの『セリナ』{ドイツの作家(1763-1825)。『ゼーリナ或いは魂の不滅について』}を読んでみられたらわかることだが、 極めて卓越した知性の持主が 荒唐無稽(こうとうむけい) の誤った観念に攻めたてられて悪戦苦闘しているようなことがよくあるものである。 そうした誤った観念を彼があえて放棄しようともしないのは、彼の心がその観念に惹きつけられているためなのであるが、 しかしその場合彼は自分で消化しえないような諸々の不合理に絶えず悩まされているのである。 その誤った観念というのは、我々の個人的な意識の全部が、死後も、個体的に存続するというあの観念である。


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