エントリーNO.139
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解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

フランス革命の導火線となった「社会契約論」こそ思想が現実の歴史を変革する力を持つことを示した古典である。 「人は生れながら自由で、しかもいたるところで鎖に縛られている」という命題から出発し、王権の性質、政府の種類、憲法、代表選挙、 宗教等について独創的意見を述べた本書は、じつに近代デモクラシーの先駆的宣言である。

発行
岩波文庫 2009年12月15日 第79刷
著者名
ルソー  
タイトル
社会契約論 (しゃかいけいやくろん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第一編
 わたしは、人間をあるがままのものとして、また、法律をありうべきものとして、取り上げた場合、 市民の世界に、正当で確実な何らかの政治上の法則がありうるかどうか、を調べてみたい。 わたしは、正義と有用性が決して分離しないようにするために、権利が許すことと利害が命ずることとを、この研究において常に結合するように努めよう。
 わたしは、自分の主題の重要性を証明せずに、本題にはいる。政治について筆をとるからには、 あなたは君主か、それとも立法者なのか、と聞く人があるかも知れない。わたしは答えよう。 そうではない、また、そうでなければこそ、政治について筆をとるのだ、と。 もし、わたしが君主か立法者であったなら、わたしは、なさねばならぬことをしゃべるために時間を空費したりはしないだろう--- わたしは、なすべきことを実行するか、それとも沈黙するだろう。
 自由な国家の市民として生まれ、しかも主権者の一員として、わたしの発言が公の政治に、 いかにわずかの力しかもちえないにせよ、投票権をもつということだけで、わたしは政治研究の義務を十分課せられるのである。 幸いにも、わたしは、もろもろの政治について考えめぐらす度ごとに、自分の研究のうちに、わたしの国の政府を愛する新たな理由を常に見出すのだ。


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