エントリーNO.133
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解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用) 東洋哲学の諸伝統の分析から得た根源的思想パターンを己れの身にひきうけて主体化し、 その基盤の上に新しい哲学を生み出さなければならない。 本書は、こうした問題意識を独自の「共時的構造化」の方法によって展開した壮大な哲学的営為であって、 その出発点には自分の実存の「根」が東洋にあるという著者の痛切な自覚があった。 |
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発行
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岩波文庫 2010年4月26日 第27刷
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著者名
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井筒 俊彦 (いづつ としひこ)
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タイトル
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意識と本質 (いしきとほんしつ)
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T
人間知性の正しい行使、厳密な思考の展開、事物の誤りない認識のために、
「定義」の絶対的必要性をソクラテスが情熱をもって強調して以来、
思惟対象あるいは認識対象の「本質」をきわめるということが西洋哲学伝統の主流の一部となって現在に至った。
それが「本質」論として主題的に取り上げられるか否かは別として、
「本質」の問題性は、様々な名称、様々な形の下に、西洋哲学の歴史を通じて常に思想家たちの思惟を支配してきた。
だが、西洋哲学だけではない。
東洋でも---いま仮りに極東、中東、近東と普通呼び慣わされている広大なアジア文化圏に古来展開された哲学的思惟の様々な伝統を東洋哲学という名で一括して通観すると---
「本質」またはそれに類する概念が、言語の意味機能と人間意識の階層的構造と聯関して、著しく重要な役割を果たしていることに我々は気付く。
このようなコンテクストにおける「本質」の問題性を手がかりにして、それが提起してきたいろいろな哲学的問題を論じつつ、
東洋哲学全体を、その諸伝統にまつわる複雑な歴史的聯関から引き離して、共時的思考の次元に移し、
そこで新しく構造化しなおしてみたいというのが私の当面の狙いなのだが、それにしても取り扱うべきものが、
その資料的側面だけから見ても