エントリーNO.126
岩波文庫を1ページ読書

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

実存主義、ユダヤ教、精神分析、...。カフカはさまざまな視点から論じられてきた。 だが、意味を求めて解釈を急ぐ前に作品そのものに目を戻してみよう。 難解とされるカフカの文学は何よりもまず、たぐい稀な想像力が生んだ読んで楽しい「現代のお伽話」なのだ。 語りの面白さを十二分に引きだした訳文でおくる短編集。

発行
岩波文庫 2010年4月26日 第47刷
著者名
カフカ  
タイトル
カフカ短篇集 (カフカたんぺんしゅう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   (おきて) の門
 掟の門前に門番が立っていた。そこへ田舎から一人の男がやって来て、入れてくれ、と言った。 今はだめだ、と門番は言った。男は思案した。今はだめだとしても、あとでならいいのか、とたずねた。
 「たぶんな。とにかく今はだめだ」
と門番は答えた。
 掟の門はいつもどおり開いたままだった。門番が脇へよったので男は中をのぞきこんだ。これをみて門番は笑った。
 「そんなに入りたいなら、おれにかまわず入るがいい。しかし言っとくが、おれはこのとおりの力持ちだ。 それでもほんの下っぱで、中に入ると部屋ごとに一人ずつ、順ぐりにすごいのがいる。


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