エントリーNO.117
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解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

西欧の文化芸術に親しもうとする人にとってギリシア・ローマ神話の知識は不可欠である。 この分野の学問的研究は長足の進歩をとげたが、しかし神々と人間の豊かで興味つきぬ世界を描いたブルフィンチ(1796-1876)のこの書物はすこしも価値を減じていない。 「伝説の時代」の中から神話篇の全部を収めた。

発行
岩波文庫 2010年4月5日 第51刷
著者名
ブルフィンチ  
タイトル
ギリシア・ローマ神話  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  第二章 プロメテウスとパンドラ
 世界創造の話は、その住民たる人間にとっては何より興味ある問題であります。古代の異教徒たちは、 私たちが今日聖書から引用するような知識を持っていなかったので、彼ら一流の話し方をしていました。それは次のごとくであります。
 天と地と海が造られるまでは、世界は見渡す限りただ一つで、それを私たちはカオス( 混沌(こんとん) )と呼びます。 それは一つの混乱した形のない (かた) まりで、おそろしく重たいばかりの物でありましたが、それでも、その中には物の種子が眠っていました。 地も海も空気もみな () ざり合っていました。すなわち、地は固まっていず、海は流れていず、空気は透明でありませんでした。 神と自然がついに手をくだして、海から地を切り離し、地と海から天を切り離して、その混乱を整理しました。 燃えていた部分は一番軽いので飛び上がって (そら) となりました。空気は重さと場所からいってその次になりました。 地はそれよりも重たいので低く沈みました。水は一番低いところへ落ちて地を浮かべました。
 その時、地上に、なんという神だかわからないが、一人の神があって、でき上がったばかりの土地の整理と排列の仕事を受け持ちました。 その神は、河と入江にそれぞれきまった場所を指定しました。山を起したり、谷を掘ったりしました。また適宜の場所に森と、泉と、 豊饒(ほうじょう) な畑と、石ころの曠野をまき散らしました。
  (サイト管理人 注 「第1章 概説」ではなく「第2章」を引用すべき「本文1ページ」とみなしました。


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