エントリーNO.116
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解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用) プルーストやジョイス等の「意識の流れ」派の源流とも先駆的作品ともいわれる本書だが、 内容・形式ともに奇抜そのもので、話は劈頭から脱線また脱線、 独特の告白体を駆使して目まぐるしく移り変る連想のながれは、 いつか一種不思議なユーモアの世界をつくり出し、我々はただ流れに身を任せ漂うばかりである。 |
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発行
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岩波文庫 2009年12月9日 第14刷
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著者名
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ロレンス・スターン
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タイトル
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トリストラム・シャンディ 全3冊
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第一章
私めの切な願いは、今さらかなわぬことながら、私の父か母かどちらかが、
と申すよりもこの場合は両方とも等しくそういう義務があったはずですから、
なろうことなら父と母の双方が、この私というものをしこむときに、
もっと自分たちのしていることに気を配ってくれたらなあ、ということなのです。
あの時の自分たちの営みがどれだけ大きな影響を持つことだったかを、
二人が正当に考慮していたとしたら---それが単に、
理性をそなえた生き物一匹を出産するという仕事であっただけでなく、
ことによるとその生き物の肉体のめでたい体質や体温も、
あるいはまたその生き物の天分とか、いや、その気だてなどさえも---いやいや、
ご本人たちが知ろうと知るまいとにかかわらなく、その生き物の一家全体の将来の運命までもが、
その二人の営みの時に一番支配的だった体液なり気分なりによって方向をきめられるかも知れないのだということまでをふくめて---
こういうすべてを二人が正当に考慮し計量して、それに基づいて事を進めていてさえくれたならば、
この私という人間が、これから読者諸賢がだんだんとご覧になるで