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エントリーNO.98
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
世界文学の中でも、十指に屈せられるべき必読の書。 主人公デイヴィドが生まれた時にはもう父は死んでいた。 母も再婚の後まもなく死に、頼るものとしては忠実な乳母ペゴティひとり、 それから彼の生活の苦闘が始まる。困難にあっても、 悲しみにあっても、彼は人間への信頼をけっして失わない。 そして最後の明るい結末。

発行
 岩波文庫 2008年6月5日 第7刷
著者名
 ディケンズ
タイトル
 デイヴィッド・コパフィールド 全6冊
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第 一 章  ぼくは生まれる
 ぼくは、自分の人生のヒーローってことに果たしてなれるのか、 それともヒーローの座は別の人間に明け渡してしまうのか、 それはこの本を読めば、おのずとお分かりだろう。 人生の振り出しを、まず出生から始めるなら、ぼくはある金曜日の夜、 十二時に生まれた(そう教えられ、そう信じてきたからだが)と書き記しておくことにしよう。 時計が十二時を打ち始めるが早いか、おぎゃあと泣き始めたのだそうだ。
 じかにぼくとお近づきになれるわけもない、数ヶ月も前から、子守りや、 近所の知恵袋のおばさん連中は、やたらとぼくに興味を持って、生まれた日と時刻とを考えれば、 やれ、まず第一に不遇な一生を送る定めだの、やれ、 第二にお化けや幽霊が見える霊感を授かっているだのと、 占ってくれた。金曜日の夜半すぎあたりに生まれた幼児には、 男女の区別なくみんなに運悪く、この二つの運勢が (いや) が応でも付いてまわるのだと、 信じ込んでいたのだった。

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