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エントリーNO.89
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を踊らせたにちがいない。 だが、おとなの目で原作を読むとき、 そこにはおのずと別の世界が現出する。 他をえぐり自らをえぐるスウィフトの筆鋒は、ほとんど風刺の粋をつき破り、 ついには人間そのものに対する戦慄すべき呪詛へと行きつかずには止まない。

発行
 岩波文庫 2008年3月5日 第49刷
著者名
 スウィフト
タイトル
 ガリヴァー旅行記 (ガリヴァーりょこうき)
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第 一 章
         著者、自分について、またその家族について語る。初めて旅行に出た経緯。
         難破して、必死に泳ぎ、無事リリパット国の海岸に 辿(たど) りつく。 (とら) われて、内
         陸部へ護送される。
   私の父は、ノッティンガムシアに小さな地所をもっていた。 男の子が五人いて、私はその三番目であった。 父は私が十四歳の時に、ケインブリジ大学のエマニュエル・コレッジに私をやってくれた。 寮生活を三年間おくり、その間みっちり勉強したが、 ここでの経費が(もちろん僅かながら小遣も貰ってはいたが)大した財産もないわが家にとっては大きな負担だったので、 結局ロンドンの高名な医師ジェイムズ・ベイツ氏のところへ年季奉公に出されることになった。 ここでは四年間勤めた。時々父が僅かながら金を送ってくれたので、その金で、 将来旅行に出ようと志している人間に役にたちそうな、 航海術や今まで習ったのとは別ないろんな数学の分野などを勉強した。 将来いつの日にか海外旅行に出る、それが俺の運命なのだ、とかねてから信じていたからであった。 ベイツ氏の下での勤めを終えてから私は父のもとへ帰った。 そして、父やジョン叔父やその他の親戚の好意で四十ポンドの現金を手にした他、 ライデン滞在中の経費として年間三十ポンドを送るという約束を得ることができた。

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