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エントリーNO.6
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
酷薄な状況の中で、最後まで鋭敏な魂と明晰な知性を失うまいと努め、 祖国と愛する者の未来を憂いながら死んでいった学徒兵たち。 1949年の刊行以来、無数の読者の心を捉え続けてきた戦没学生たちの手記を、 戦後50年を機にあらためて原点に立ちかえって見直し、 新しい世代に読みつがれていく決定版として刊行。

発行
 岩波文庫 2007年5月23日 第21刷
編者
 日本戦没学生記念会
タイトル
 きけ わだつみのこえ
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

なげけるか いかれるか
はたもだせるか
きけ はてしなきわだつみのこえ
上原良司
一九二二年(大正十一)九月二七日生。長野県出身
慶応義塾大学予科を経て、一九四三年(昭和十八)経済学部入学
一九四三年十二月一日、松本第五〇連隊に入隊
一九四五年五月十一日、陸軍特別攻撃隊員として、沖縄嘉手納湾の米機動舞台に突入戦死。
陸軍大尉。二十二歳
所感
 栄光ある祖国日本の代表的攻撃ともいうべき陸軍特別攻撃隊に選ばれ、 身の光栄これに過ぐるものなきを痛感いたしております。
 思えば長き学生時代を通じて得た、信念とも申すべき理論万能の道理から考えた場合、 これはあるいは、自由主義者といわれるかも知れませんが、自由の勝利は明白な事だと思います。 人間の本性たる自由を滅すことは絶対に出来なく、例えそれが (おさ) えられているごとく見えても、 底においては常に闘いつつ最後には必ず勝つという事は、 () のイタリヤのクローチェ(イタリアの哲学者。一八六六〜一九五二)も言っているごとく真理であると思います。 権力主義全体主義の国家は一時的に隆盛であろうとも、必ずや最後には敗れることは明白な事実です。

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