エントリーNO.484
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トリスタン・イズー物語

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

愛の秘薬を誤って飲みかわしてしまった王妃イズーと王の甥トリスタン。 この時からふたりは死に至るまでやむことのない永遠の愛に結びつけられる。ヨーロッパ中世最大のこの恋物語は、 世の掟も理非分別も超越して愛しあう「情熱恋愛の神話」として人びとの心に深くやきつき、 西欧人の恋愛観の形成に大きく影響を与えた。
カット=R.S.Loomis

発行
岩波文庫 1985年4月16日 第32刷
著者名
べディエ  
タイトル
トリスタン・イズー物語 (トリスタン・イズーものがたり)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    みめ清げなる若者と、
    よばわれるこそ
    ふさわしき。
          (ゴットフリート・フォン・シュトラスブルク)
 むかしマルクという王がコーンウォールを治めていた。ローヌア王のリヴァランはマルク王が敵のために攻められていると聞くと、 海を渡って () せつけ、それに援助をもたらした。 彼は剣をとっては戦い、 (はかりごと) を献じてあたかも臣下ででもあるかのように、 忠誠をつくして (つか) えたので、マルクは妹の美女ブランシュフルールを与えて、その義にむくいた。 リヴァランは並ならぬ想いをかけて彼女を愛していたのであった。
 タンタジェルの 御堂(みどう) のなかでリヴァランは姫を妻にめとった。 けれどもその後いくらも月日の () たぬうちに、仇敵のモルガン侯がローヌアの地を攻め、 村も町も踏みにじってしまったという音信に接した。 そこで急いで軍船の準備を整え、みごもっていたブランシュフルールを遠い自分の領土にともなっていった。


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