エントリーNO.421
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比較言語学入門

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

前世紀ヨーロッパに生まれた印欧比較言語学は多くの秀れた研究者、 豊富な資料にめぐまれて驚くべき発展をとげた。 本書はその輝かしい成果にもとづき言語研究における比較方法の基本とその問題点を例証豊かに説いたもので、 そのままに類書のない懇切な印欧比較言語学の入門書となっている。 原題「比較言語学」。
(解説=風間喜代三)

発行
岩波文庫 1992年11月20日 第2刷
著者名
高津 春繁 (こうづ はるしげ)  
タイトル
比較言語学入門 (ひかくげんごがくにゅうもん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一章 言語の比較研究
 比較とは二個以上の対象を相近づけてその間の異同を観察することである。 およそいかなる科学といえどもそれが実証的・帰納的であるかぎり、比較方法を使用せずには成立しえない。 すべての比較科学の目的は研究対象の中に存する異同を求め、これによって対象を整理し、体系中の妥当な関係に置くにある。 かかる意味における言語の比較には種々の方法が考えられるが、ほぼ次のごとくに分ちうるであろう。
 T 第一は一般的な比較であって、言語を、その系統的・文化的・政治的・地理的・時間的その他の関係のいかんを問わず、比較するものである。あるいは日本語とトルコ語とを比較し、 あるいは英語とアメリカ・インディアンの諸言語とを比較する。
 かかる比較方法はもっとも古くより、人類が自己の言語以外の言語の知識を有すると同時に、必ず行われたものであった。


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