エントリーNO.409
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全体性と無限

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

第二次世界大戦後のヨーロッパを代表する哲学者の主著。 フッサールとハイデガーに学んだレヴィナス(1906-95)は、西欧哲学を支配する「全体性」の概念を拒否し、 「全体性」にけっして包み込まれることのない「無限」を思考した。 暴力の時代のただなかで、その超克の可能性を探りつづけた哲学的探求は、現象学の新たな展開を告げるものとなる。(全2冊)

発行
岩波文庫 2005年11月16日 第1刷
著者名
レヴィナス  
タイトル
全体性と無限 (ぜんたいせいとむげん) 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一部 〈同〉と〈他〉
  A 形而上学と超越
    一 見えないものへの渇望
「ほんとうの生活が欠けている」。それなのに私たちは世界内に存在している。形而上学が生まれ育まれるのは、このような不在を証明するものとしてである。 だから形而上学は、「べつのところ」「べつのしかた」「他なるもの」へと向かっていることになる。 思考の歴史をつうじて形而上学が身にまとうことになった、もっとも一般的なかたちのもとでは、形而上学はじっさい----どのような未知の大地がその世界の縁を囲っていようと、 またその世界がなお未知の大地を隠していようとも----私たちになじみ深い世界から旅だち、私たちが住まっている「わが家」をはなれて、 見しらぬ自己の外部、向こう側へとおもむく運動としてあらわれるのである。
 形而上学のこうした運動を境界づけるもの----べつのところ、あるいは他なるもの----は、すぐれて他なるものであるといわれる。 どこに旅してみても、ほかの土地で暮らしたり、生活環境を替えてみても、べつのところ、他なるものへと向かう渇望を充たすことはできない。


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