エントリーNO.399
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国語学原論

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

時枝誠記(1900-1967)は、いわゆるソシュール的言語理論を批判し、「言語過程説」と名付けられた独自の言語観を提示した。 「古い国語研究の伝統」と「西洋言語学説の流れ」を見据え、国語学の新たな基礎づけを試みた。 一九四一(昭和十六)年刊。(全二冊)

発行
岩波文庫 2007年3月16日 第1刷
著者名
時枝 誠記 (ときえだ もとき)  
タイトル
国語学原論 (こくごがくげんろん) 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

     一 言語研究の態度
 言語の研究法は、言語研究の対象である言語そのものの事実に (もとづ) いて規定されるものであって、 対象の考察以前に言語研究の具体的な方法論なるものは存在し得ない。 しかしながら、右に述べた様な、対象の考察以前に方法論を規定することが出来ないという主張そのものは、いわば言語研究の精神、心構え、態度とも称すべきものであって、 そのこと自体が既に言語研究の方法論と見ることが出来るものである。
 国語学 (すなわ) ち日本語の科学的研究の使命とするところは、 国語に () いて発見せられる (すべ) ての言語的事実を摘出し、 記述し、説明し、進んで国語の特性を (あきら) かにすることにあるが、 同時に、国語の諸現象より言語一般に通ずる普遍的理論を抽象して (もっ) て言語学の体系樹立に参画し、 言語の本質観の確立に寄与しなければならない。こういう意味に於いて国語研究に携るものは、 何を () いても () ず国語の持つ極微極細の現象に対して凝視することを怠ってはならない (はず) である。


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