エントリーNO.291
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ブリタニキュス ベレニス

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

母后への愛憎と皇子ブリタニキュスへの嫉妬が引き起こす、怪物ネロン(皇帝ネロ)の誕生。 世界を較べる皇帝ゆえに女王ベレニスと引き裂かれるティチュス。 権力とエロス、政治と情念の破滅的な絡み合いを、人間の深層と歴史の深部をえぐる詩句で描いたローマ物悲劇の頂点。

発行
岩波文庫 2008年2月15日 第1刷
著者名
ラシーヌ  
タイトル
ブリタニキュス ベレニス  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一幕
     第一場
      アグリピーヌ、アルビーヌ
アルビーヌ  まあ、これは。ネロン様、まだおやすみのうちから、
  あなた様がお出ましになり、陛下のお目覚めをお待ち遊ばす。
  お付きも衛兵もなく、宮殿のうちを行きつ戻りつ、
  皇帝の母宮様がただお一人、戸口で番をなさるとは?
   大后(おおきさき) 様、なにとぞ、お部屋までお戻り遊ばされますように。
アグリピーヌ  アルビーヌよ、寸時も目を離すことはできぬ。
  わたしはここで待たせてもらう。あれがこの胸に () き起こした不安は、
  あれが休んでいる限り、この身を捉えて放すまい。
  あまりと言えば何もかも、わたしの予言どおり。
  ブリタニキュスに向かって、ネロンは牙をむいた。


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