エントリーNO.227
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回想のブライズヘッド

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

第二次世界大戦中、物語の語り手ライダーの連隊はブライズヘッドという広大な邸宅の敷地に駐屯する。 「ここは前に来たことがある」。 この侯爵邸の次男で大学時代の友セバスチアンをめぐる、華麗で、 しかし精神的苦悩に満ちた青春の回想のドラマが始まる。(全二冊)

発行
岩波文庫 2009年1月16日 第1刷
著者名
イーヴリン・ウォー  
タイトル
回想のブライズヘッド (かいそうのブライズヘッド) 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  回想のブライズヘッド
    チャールズ・ライダー大尉の信仰と
    俗生活と、二つの人生にかかわる思い出
  序章 ブライズヘッドふたたび
 丘の頂上にあるC中隊の宿営地まで来るとわたしは立ちどまって、早朝の灰色の霧のなかから眼下にようやく全貌を見せはじめた、 本隊の宿営地の方をふりかえった。 われわれは、その日に出発することになっていた。 三ヵ月前に進駐してきたときには、このあたり一帯は雪に覆われていたのに、 今では春の若葉が () えている。 あのときわたしは、この先にどれほど荒涼たる風景が待っているとしても、これ以上無残な風景に出会う恐れはあるまいと思ったものだったが、 今ふりかえってみても楽しい思い出はひとつとしてなかった。
 わたしと軍隊とのあいだの愛情は、ここで息絶えたのだ。
 ここは電車の終点だったから、グラスゴーから酔っぱらって帰ってくる兵隊たちは、終点に着いてゆり起こされまで座席で眠っていられた。 電車の終点から基地の門までは、かなり距離がある。


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