表紙一覧2へ        次のエントリーへ
 
エントリーNO.11
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
200年の長い間、世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた。 「岩窟王」の完訳。無実の罪によって投獄された若者ダンテスは、 14年間の忍耐と努力ののち脱出に成功、 モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々進めてゆく。 この波瀾に富んだ物語は世界大衆文学史上に不朽の名をとどめている。

発行
 岩波文庫 2008年3月14日 第78刷
著者名
 アレクサンドル・デュマ
タイトル
 モンテ・クリスト (はく)    全7冊
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

              一  マルセイユ-----到着
 一八一五年二月二十四日、ノートル・ダム・ドゥ・ラ・ガルドの見張所では、 スミルナ、トリエスト、ナポリからやってきた、三本マストのファラオン号が見えたという合図をした。
 例のとおり、水先案内はすぐに港を出て、シャトーディフ(マルセイユ港外の島に設けられた要塞。 当時政治犯収容の牢獄)をすれすれに通り、モルジョン岬とリオン島との間でその船に乗りこんでいった。
 と見る間に、これもまた例のごとく、サン・ジャンのとりでの物見台は、たちまち物見高い人たちでいっぱいになってしまった。 それというのは、船が入港する、しかもそれがこのファラオン号のように、マルセイユの船大工の手で建造され、 艤装され、釣合がためされ、それが町の船主ものであるといった場合、その入港は、 マルセイユの港にとっていつも一つの大事件だったからのことだった。
 そういう間にも、船は進んでいた。今は難なく、カラザレーニュ島とジャロス島の間、 火山性の地震で掘りあげられた海峡を通りぬけ、ポメーグ岬をもまわっていた。

表紙一覧2へ        次のエントリーへ


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書