エントリーNO.152
岩波文庫を1ページ読書
ツァラトゥストラはこう言った

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

晩年のニーチェがその根本思想を体系的に展開した第一歩というべき著作。 有名な「神は死んだ」という言葉で表わされたニヒリズムの確認から始めて、さらにニーチェは、 神による価値づけ・目的づけを剥ぎとられた在るがままの人間存在はその意味を何によって見出すべきかと問い、 それに答えようとする。

発行
岩波文庫 1995年10月16日 第48刷
著者名
ニーチェ  
タイトル
ツァラトゥストラはこう言った (全2冊)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   ツアラトゥストラはこう言った 上
               だれでも読めるが、だれにも読めない書物
   第一部
   ツアラトゥストラの序説
   一
 ツアラトゥストラは、三十歳になったとき、そのふるさとを去り、ふるさとの湖を捨てて、山奥にはいった。 そこでみずからの知恵を愛し、孤独を楽しんで、十年ののちも () むことを知らなかった。 しかしついにかれの心の変わるときが来た。----ある朝、ツアラトゥストラはあかつきとともに起き、太陽を迎えて立ち、 つぎのように太陽に語りかけた。
 「偉大なる天体よ!もしあなたの光を () びる者たちがいなかったら、あなたははたして幸福といえるだろうか!
 この十年というもの、あなたはわたしの洞穴をさしてのぼって来てくれた。もしわたしと、わたしの (わし) (へび) とがそこにいなかったら、 あなたは自分の光にも、この道すじにも飽きてしまったことだろう。


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